<Studio CAN D 住宅外観デザインコンペ出展案>
課題 : ジャンルにとらわれない新しい住宅のファサードデザイン (このコンペでは与件として平面形が与えられていました)
題名 : Collage House
提案 :
同じく住宅の外観のみを設計したコンペ案凸Houseで試みた手法を発展させて回答としました。
※提出がA3サイズ1枚で外観のデザイン重視だったため、プレゼンテーションは外観のみになっています。
本文(提出したA4別紙の設計主旨文より) :
プログラム
<課題に対して>
過密化された現代の都市においては、住宅を遠景で捉えられる場所は少ないため、
ヴォリューム(屋根)による印象よりも、テクスチャや窓による印象の方が比較的大きいと考えました。
このことから、本提案では窓の数が最も多いType-Aの平面を選択し、
陸屋根を架けた状態でテクスチャと窓に主眼を置いて、外観のデザインに取り組むことにしました。
<背景>
窓を開けることは境界面に対して様々な機能を与えます。
機能性(法規)によって決定される採光・通風や、外観としての窓、内部からの眺望を確保するための窓などが考えられますが、
その対極の、内観としての窓、外部から内部を覗くための窓なども考えられます。
<問題>
しかし、窓は一度空けるとこれらの機能がすべて付加されてしまいます。
このため、プライバシーを守りたいのに、大した眺望も得られないのに、法規上空けざるを得ない窓が存在します。
この対策としてカーテンを用いるのが一般的ですが、殆どのカーテンは内部からの見た目を重視してデザインされているため、
外観としての美しさには疑問が感じられます。カーテンを閉じたままの窓が並ぶ街並みに変化を与えられないものでしょうか。
<目的>
上記のような窓の持つ問題点の解決策となる外観デザインを行うことを目的とします。
<手法>
本提案では、窓を覆うパネルを提案します。
このパネルは様々な素材・色を用いたもので、基準となる窓のサイズ・周辺環境との関係性・外観のバランスを考慮して配置されます。
<効果>
このパネルを用いた手法によって、外観だけでなく内部にも様々な効果を付加することができます(A3用紙の@〜Dもご参照下さい)。
特に色彩心理学的見地から考察すると、
内部から見たパネルは、色が機能的要素として強く働き、
外部から見たパネルは、色がアート的要素として強く働くことになります
(黄=コミュニケーションカラー等の効果は単色での視認時にのみ適応されるためです)。
<総括>
外観をデザインする際において、表面的なデザインに留まるのではなく、境界面としての認識を高めた上で、
内外両面にその効果を反映させること・外観としてお施主様の好みを許容できる自由度を持たせることが、新たなデザインと成り得ると私は考えています。
仕上げ
パネル:プログラムを考慮した上で、お施主様の好みによって素材と色が決定されます。
外壁:各パネルが映えるよう白色にしたいと考えますが、ランダムな大きさのパネルが返って不規則な印象になりかねないため、
中空セメント板などの乾式の素材を用いて横目地が入るように設えることを提案いたします。
一言 :
眺望などのコンセプトを含めた状態で外観のみのコンペに挑戦するとどういう結果になるのか。これは個人的に大変興味深いところでした。
結果として前回と同じく方法論を提案する(今回は住宅メーカーの主催で規格化を前提としているため妥当だと判断しましたが)ことになったわけですが、
一つの外観をつくるための決定項に対する回答は、なかなか見つからないようです。