<第1回愛知建築士会学生コンペ 出展案>
募集HP : http://www.asanet.or.jp/compe/nayabasi/happyo.html
課題 : 納屋橋ルネサンス
題名 : YUZENSCAPE
キーワード : 平面・内観
本文 :
問題提起
現在の納屋橋周辺には新しい店舗が続々と立ち並びつつ在る。
しかしながら、川との連続性が途絶えてしまうような建築では、都市における堀川の孤立は改善されていかない。
着想:名古屋友禅
まだ美しかった頃の堀川では、名古屋友禅による絢爛な友禅流しが川を彩っていた。
その美しい風景に、人々は足を止め見入っていたに違いない。本提案は、その情景に着想を得たものである。
提案:YUZENSCAPE(川沿いを見下ろすランドスケープ)
堀川に友禅のある風景YUZENSCAPEを構想する。
先ず、友禅の絵柄を用いて、船着場の北側に屋根付きの広場(YUZEN-roofの広場)と船着場の南側に屋根無しの広場(YUZEN-deckの広場)を提案する。
これらを川沿いに低く抑えて建築することによって、納屋橋を始めとする橋から・堀川周辺の建築から・近年高層化が進む名駅周辺の建築など
様々な場所から堀川と共に見下ろすことができる新感覚のリバーサイド空間として建ち現れる。
視認性を向上させ、ランドスケープを親しみのあるものにしていくことが、魅力ある空間を構築することに繋がると考える。
また、現在市民団体等により精力的な活動が行われている堀川の浄化が伴ってこそ美しいランドスケープと呼べるため、
YUZEN-roof ・YUZEN-deckを堀川の浄化システムへと結び付けて提案する。
YUZEN-roofの広場には、川の流れを表現するように波打たせた屋根を設えた。
人が集まる場所において、屋根は重要な要素である。
屋根の下にはイス、テーブル、屋台、トイレ、、、用途に応じて様々な家具が持ち込まれる。
屋根の表面にはカラーの曲面ソーラーパネルを使用している。
船着場にも、YUZEN roofを設える。また、堀川浄化システムの一翼を担う屋形船の屋根面には友禅の絵柄の電飾を施した。
YUZEN-deckの広場には、川の流れを表現するように波打たせた床を設えた。
人が集まる場所において、段差は重要な要素である。座ったり、もたれ掛かったり、登ったり、隠れたり、、、様々な用途に使用される。
床の表面にはカラーの曲面ソーラーパネルを使用している。
堀川の浄化システムについて
堀川を浄化することが、美しいランドスケープを構築する根本と言える。
YUZEN-roof 、YUZEN-deckで確保したエネルギーを用いて、屋形船で堀川の浄化システムを構築して、持続可能な堀川の浄化を目指す。
納屋橋からの昼景:人々は足を止めて、友禅のある風景を眺める。
天王崎橋からの夜景:友禅の電飾を施した屋形船で堀川を浄化して、本物の友禅流しを行うことを目指す。
提案 :
何でもってアイデンティティを獲得しながら再開発を行うかというところが争点ですが、
そこで納屋橋の掛かる堀川の伝統工芸「名古屋友禅」を引用して計画しました。
一言 :
2次審査では佳作に終わってしまい、残念な結果でした。
今回のコンペは「納屋橋ルネサンス」ということだったので、堀川(厳密には源流の黒川)
で行われていた名古屋友禅を引用しているのにズレがあると2次審査では捉えられたようです。
私としては同じ堀川での提案という点で引用したのですが、名古屋市の都市計画も考えられている黒川氏には受け入れられなかったようです。
1次審査でそう捉えられたのであれば、2次審査には進めていなかったと思うので参りました。
また、地場のものをモチーフに使用する場合、好感を持たれ易い反面、調査足らずでは許されないリスクがあるように思います。
更に、主催者側は実施設計にも着手していく方々だったので、実際にどう賑わいを与えるかといったところが大きな争点だったようでした。
大きなヴィジョンよりも、納屋橋の対象敷地で何ができるかが強く問われていたように思います。
1等は課題を真摯に解いたもの・2等は提案で好感を与えたもの・模型とドローイングで優位に立ったものといった感じでした。
今回のコンペでは、審査員が1次と2次で異なっていたのも大きかったように思います。